自作童話です。
素敵なお話がみつかるかもです。
- 2008 . 10 «
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
- 7
- 8
- 9
- 10
- 11
- 12
- 13
- 14
- 15
- 16
- 17
- 18
- 19
- 20
- 21
- 22
- 23
- 24
- 25
- 26
- 27
- 28
- 29
- 30
|
高い山に囲まれたある国のはずれに
一人の炭坑夫がいました。 炭坑夫は石炭を掘りながら 時折見つけた宝石を大切に家に飾っていました。 たった一人で石炭を掘っている炭坑夫には 宝石が自分を癒してくれる友達でした。 ある日いつものように 鉱山へ向かっている途中 湖に差し掛かりました。 湖の湖面はキラキラと輝き清々しく 家に置いてある宝石を思わせました。 炭坑夫は湖畔に佇む女性を見つけました。 栗色の長い髪、陶器のようななめらかな肌 澄んだ青い瞳、うっすらと赤らんだ頬を持つ 女性に炭坑夫は一目見て恋に落ちました。 しかし、どうやら女性は泣いているようです。 炭坑夫は気になって話しかけました −なぜ泣いているのですか?− 女性は静かに口を開きました。 −私は今にも潰れそうな貧乏な家柄の者です。 家のために山をいくつも超えた隣の国の 一度も会ったことのない豪族の家へ 嫁がなければなりません。 この国に生まれ、 好きな人とこの国で暮らし、 愛する人を看取り、 この国の土に帰るものだと思ってきました。− 炭坑夫は泣きやんでくれないかと 女性に宝石を渡しました。 しかし、女性は泣きやみません。 −どんなに綺麗な宝石でも 私のこれからの 暗く淀んだ人生を照らしてくれません。 お優しいお方、 どうぞ大切な宝石をおしまい下さい。− そういって女性は街へ帰っていきました。 その晩、炭坑夫は昔聞いた隣国の豪族の話を 思い出しました。 話によると豪族は大変な金持ちだが、強欲で非道な人だと。 そして、世界中のいろんな宝石を集めているらしいと。 次の日、炭坑夫は家に置いてある たくさんの宝石を持って家を出ました。 炭坑夫は湖で出会った女性の家へ行き、 お願いをしました。 −これらの宝石を差し上げますので、 どうか、お嬢様の結婚をやめていただけないでしょうか?− 女性の両親は頭を悩ませてこう言いました。 −私たちもできれば娘を手放したくないのです。 ですが、娘をあの豪族の所に嫁がせなければ 我が家を潰すと豪族に脅されているんです。 私たちは貧乏でも構わないのです。 家族と共にこの家で暮らしていければ構わないのです。 ですが、娘は私たちを思って嫁ぐことを決めました。 お優しい方、 お心遣い感謝いたします。 どうぞ、宝石をおしまい下さい。− 炭坑夫は家を出た後、険しい山々を越えて 隣国へ向かいました。 日々石炭を掘っている炭坑夫には山越えは容易でした。 炭坑夫は隣国につくやいなや、豪族の家へ向かいました。 炭坑夫は豪族の家の門を叩き言いました。 −今度、あなた様と結婚をする方の知り合いの者です。 こちらの宝石を全て差し上げますので 婚約を解消していただけないでしょうか?− −ほう、素晴らしい宝石ですな。 よろしい、婚約を解消いたしましょう。− 炭坑夫は安心して家に帰ることにしました。 数日後、炭坑夫はいつものように 石炭を掘りにいきました。 その道中、女性とその両親に出会いました。 三人とも暗い顔をしています。 炭坑夫は訳を聞きました。 −今から娘を豪族の家へ送り届けるところです。 先日のあなたのお心遣い感謝します。 ですが、豪族は婚約を解消してくれませんでした。− 炭坑夫は走りました。足がぼろぼろになるほどに。 隣国の豪族の家に着き、門を強く叩きました。 −先日宝石を差し上げたものです 何故婚約が解消されてないのですか?− −さて、なんのことかな? 私は宝石ももらってないし、解消した覚えもない− 炭坑夫はそのまま自分の家に引き返しました。 家に帰ると、家に置いてある全ての宝石を 持って、山を登りました。 炭坑夫は宝石を空へ投げました。 何度も何度も投げました。 石炭を掘ってぼろぼろになった手で 何度も何度も投げました。 宝石は夜空に散りばめられ星になりました。 炭坑夫は願いました。 女性の心が少しでも輝くように。 少しでも明かるい笑顔を取り戻すように。 隣国では豪族が大騒ぎしていました。 空に浮かぶ宝石を取ろうとしています。 豪族はしきりに飛び上がり走りました。 上ばかり見ていたせいで、前にある崖に気付きません。 今日もいつものように 炭坑夫は石炭を堀りに行きます。 家には宝石はありません。 ですが、とびっきり綺麗に輝いている人が 待っています。 テーマ:児童文学・童話・絵本 - ジャンル:小説・文学 |
|
| ホーム |
|
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
By FC2ブログ

